東京司法書士会会員
佐々木司法書士事務所
mail info@office-ssk.jp Tel 042-682-5003
相続登記(名義変更)・相続放棄を専門としています。北海道から沖縄まで全国対応・全国同一料金です。
事務所は東京都ですが,神奈川,埼玉,千葉など関東近県に限らず東北・北陸,愛知など東海,大阪,福岡など全国対応可能です。
A(横浜市在住,65歳の男性)は軽井沢に別荘としてマンションを所有していたが,Aは,管理会社の管理に不満があり,管理費数年分を支払っていなかった。
マンション管理会社(長野県)は,Aに対して何度も管理費の支払いを請求したが,Aはことごとくそれらを無視した。やむをえず,管理会社は,Aの住所地を管轄する横浜簡易裁判所に支払督促の申立てをした。
そこで,Aは司法書士Xに対応を相談した。
司法書士Xは,Aから委任を受け,Aの代理人として異議申し立てを行った。これにより事件は通常訴訟に移行した。弁論期日には,管理会社の社員3名,AとXが出頭した。
管理会社の社員は,長野県から出張してきているので期日を1回で終わらせたがっていた。これを見て取ったXは,滞納管理費を大幅に減額したうえで長期間の分割払い(通常の管理費に加算して支払う)を提案したところ,管理会社は抵抗したが,最終的にこれを承諾し,訴訟上の和解が成立した。
支払督促は,簡易迅速に債務名義(強制執行の許可証のようなもの)が得られる便利な手続きですが,メリットがある反面デメリットも多いので,申立てをする前に案件の内容を検討する必要があります。
支払督促のデメリットは簡単に異議申し立てができ(合理的な理由は不要),これにより事件は通常の訴訟手続きに移行してしまうという点で,本件はまさにその典型です。
管理会社は,長野の簡易裁判所で少額訴訟または通常の訴訟を提起すべきでした。そうすれば,今回のように大幅な譲歩はしないで済んだのではないでしょうか。恐らく,管理会社は弁護士や司法書士などに相談せず,支払督促の簡便さだけしか考えなかったのでしょう。
支払督促が訴訟に移行した場合のデメリットは次のとおりです。
〇それまで支払督促に費やした手数と時間が無駄になる。
〇相手方の住所地の裁判所(簡裁または地裁)に行かなければならない。