なぜ戸籍が必要か?

相続登記をしたり銀行預金の払い戻しをする際には,被相続人(亡くなった人)や相続人の戸籍が必要となります。では,なぜ相続手続きに戸籍が必要となるのでしょうか?
それは,
夫婦・親子・兄弟姉妹などの親族関係に基づいて権利義務が承継されるのが相続であり,その親族関係を正確に記録しているのが戸籍だからです。
戸籍には,被相続人の出生から死亡までの間の「出来事」(出生⇒結婚⇒子の出生⇒配偶者の死亡⇒死亡)が記録されており,その人の相続人が誰なのかを確定することができます。

どんな戸籍を集めればいいのか

銀行や法務局で預金の払戻しや相続登記をしようとすると,「被相続人の出生から死亡までの全部の戸籍を提出することを求められます。
通常,戸籍を取ることは多くありませんので,
戸籍というと現在の戸籍,つまり被相続人の死亡時の戸籍しか思い当たらないのではないでしょうか?でも,それでは全然足りないのです。
被相続人の出生時は概ね親の戸籍に入っていますので,被相続人の親(または更に先代)の戸籍(除籍や改製原戸籍)が必要ですし,親が転籍していれば,転籍の前後の戸籍が必要となります。被相続人が結婚して新しい戸籍ができ,その後,戸籍が改製されると改製の前後の戸籍が必要となります。このように平均的に4~10通ぐらいの戸籍が必要で,実費(市町村の手数料・送金費用,郵送費・古い戸籍は1通取るのに約1,000円かかります)だけでも6,000~1万円ぐらいかかります。戸籍関係が複雑な場合,2万円以上かかることもあります。
以下,もう少し詳しく説明します。

戸籍の種類

(1)戸籍謄本・戸籍抄本
謄本とは
全部の写しという意味で,戸籍に記載されている人の全員を記載したものです。これに対して,一部の写しは抄本といいます。
(2)全部事項証明書・個人事項証明書
現在,戸籍はコンピュータ化されており,発行される戸籍はコンピューターの記録から打ち出されたもので,紙の戸籍簿原本からコピーした(謄写した)ものではないので,謄本・抄本とは言わずに,
全部事項証明書・個人事項証明書といいます。でも,戸籍の名称はあまり厳密に区別されていないので,全部事項証明書を戸籍謄本と言っても十分通じます
相続手続きに使う被相続人の戸籍は全て「謄本」または「全部事項証明書」です。

(3)除籍謄本
本籍を他の市町村に移転した場合,元の市町村の戸籍は閉じられ,新たな変動を記載しなくなった戸籍を除籍簿といいます。その写しが除籍謄本です。
転籍だけでなく,婚姻や死亡などで,その戸籍に誰もいなくなった場合も戸籍は閉じられ,除籍簿となります。
(4)改製原戸籍謄本
法令の改正により,戸籍の書式が変わることがあります。明治,大正時代に各1回,戦後の新民法になった昭和23年や平成6年以降の戸籍のコンピュータ化による改製があります。改製された時期は自治体によって違います。
戸籍が改製されると,旧戸籍は閉じられます。この写しを改製原戸籍(げんこせき・はらこせき)謄本といいます。「原」とはもとのという意味です。

隠し子はいるか?

戸籍が新たにできる代表的なものは次のような場合です。
(1)結婚により親の戸籍から出て,自分と配偶者の新たな戸籍を作る場合
(2)他の市町村に本籍を移転(転籍)する場合
(3)法令の改正により,戸籍が改製される場合

以上のような場合,(1)の親の戸籍にいた時の記載事項,(2)転籍前の市町村の戸籍に記載されていた事項,(3)改正前の原戸籍に記載されていた事項は,新たに作成する戸籍に全部書き写されるわけではないのです。
例えば,下記は全部事項証明書の1ページ目ですが,義太郎は丙山信夫を認知しています。しかし,義太郎が本籍を現在の千代田区から新宿区に移転した場合,その認知の記載は,新たにできる新宿区の戸籍には記載されません。本籍を移転することによって,認知した事実は新しい本籍地では見えなくなり,まさに「隠し子」のようになります。
義太郎が離婚した場合も同じことが起こります。千代田区で妻と離婚して,新宿区へ転籍した場合も,新宿区の戸籍には離婚した事実が記載されません。
また,義太郎に子供がいて,千代田区に本籍があるときに結婚して義太郎の戸籍から出てしまうと(除籍されると),その後,義太郎が新宿区に転籍した場合,新宿区の戸籍には,その子がいたことは記載されないのです。
そして,同じことは,戸籍の改製でも生じます。改正前の認知事項,結婚して除籍された子の記載は,改正後の新戸籍には記載されません。

以上のことから,義太郎の子供(相続人)が誰なのか?何人いるのか?は,最終の新宿区の戸籍だけではなく,千代田区の除籍も必要だということが分かると思います。
そして,更に千代田区の
コンピューター化前の原戸籍も,結婚前の親の戸籍まで(被相続人が高齢の場合,さらにその先代まで遡って)取得しないと,その人の子供が何人いるのかは確定されません。これが,相続手続きに必要な「被相続人の出生から死亡までの全部の戸籍」なのです。

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