弁護士か?司法書士か?

弁護士か?司法書士か?
相続放棄手続きを依頼するのは弁護士なのか司法書士なのか迷う方もいらっしゃると思います。
両者の差は代理権の有無です。弁護士には代理権がありますので,あなたが委任状にサインをすれば,あとは弁護士がすべての手続きをしてくれます。あなたは何もしなくていいのです。
しかし,司法書士の場合は代理権がないので,裁判所に提出する書類を作成したり,書類を裁判所に送ったりする代行業務をするだけです。あなたは司法書士が作成した書類にサインをしたり,裁判所から送られてくる照会書(質問書)に回答する必要があります。つまり,手続きをしているのはあなた自身です。
と言うと,司法書士に依頼するのが不安になるかもしれませんね。でも,大丈夫です。裁判所とは殆ど書類のやり取りのみで,電話でのやり取りはまずありません。あなたの横で司法書士が手続きについてアドバイスをしながらゴール(受理)まで伴走します。

放棄をすれば安心か?

あなたの相続放棄の申述(申立て)が裁判所に受理された場合,あなたは,その相続問題から完全に逃れられたのでしょうか。いいえ,そうとも言えません。
被相続人の債権者は,あなたの放棄が裁判所に受理されていても,それを無視して訴訟を提起することもできるのです。
そのような訴訟が提起された場合,受訴裁判所は,相続放棄が家庭裁判所に受理されていることを理由に,その訴えを門前払いすることはありません。その債権者との間であなたの相続放棄の効果を認めるべきか否かをあらためて判断します。つまり,相続放棄の受理は,あなたの相続放棄の申立てが家庭裁判所に受理されたということが確定するだけで,被相続人の債務が免責される直接的な効果はないのです。でも,現実的には,被相続人の債権者は,あなたの相続放棄が受理されたことを知れば,強硬に請求したり,訴訟を提起することを諦めることが多いでしょう。

弁護士に依頼すべき場合

次のようなケースで,被相続人の債権者が訴訟を起こしてくる可能性が高いと思われる場合は,初めから弁護士に依頼することをお勧めします。
1うっかり遺産を私的に消費した。
2相続の開始を知っていたが,債務がないと思って,期限内に申し立てをしなかった。
3被相続人の負債が相当高額である。
4被相続人と債権者間に紛争があった。

もちろん,司法書士でも上記のような案件をお受けできますし,十分ご相談に対応できます。また債権者が訴訟を起こしてくるとは限りません。でも万が一,訴訟を起こされた場合,あなたは,司法書士の支援を得て本人訴訟をすることができますか。その自信がない場合,訴訟を起こされる可能性を考慮して,弁護士か司法書士かの選択をすべきだと思います。